コロナ禍で在宅勤務をするようになった家族のための家である。南側の隣地は学校の校庭で高低差もあり見晴らしが良いという立地であるため、光や風を取り入れやすい環境である。その環境を住戸内全体で最大化するために、平面計画や各室間仕切壁の開口を工夫している。シューズインクローゼット等に使える収納スペースを共用廊下側の部屋とLDK間に計画し、広い開口幅を確保できる両引込戸を2箇所に設けることで、通常の廊下型2,3LDK住戸では得難い風通しと採光を確保している。その結果、良好な通風が確保され、初夏においてもエアコン無しで一日中過ごせる環境となっている。
環境としての光や風通しの良さを確保することは、家族間、さらには近隣住民との良好な関係にも繋がることを期待している。
フェイク材を一切使わず、各所に本物の木を使い、キッチン腰壁やバックカウンターの壁に八田公平氏による左官壁があることで、都会のマンション内に居ながらも生活の中で自然の肌理、質感を感じることができる家にしたいと考えた。