ストリートキッチンハウス
築60年の木造2階建て戸建住宅の改修プロジェクト。高齢化した住居地域に若者が流入し、彼らの暮らしが道を介して地域社会と結びつくような新しい戸建住宅のモデルをつくった。
個々の住宅が閉鎖的で住民の高齢化が進んだ地域において、戸建住宅の表層を改修するだけでなく街との関係を改修すべく、構造や外構を含め全体をデザインした。交差点に対しては既存建物を一部の減築し交差点へ開いた配置計画とした。既存建物の前面道路までの距離の近さや、接道距離の長さを利用して、前面道路に面して開かれた土間フリースペースをつくり、それに隣接するように大きなキッチンを設え、さらにキッチンの窓外側には外部カウンターを設けることで、前面道路にもアクティビティが生まれ、そこで人々が交じり合い地域住民のつながり(ネイバーフッド)が生まれることを目指した。本改修により夜も街灯が少なく暗かった交差点が少し明るくなり交差点の雰囲気が変わった。応募事業者はこのような一部が街に開かれた住宅を同エリアに集中的に創出しており、それらが道で繋がることで専用住宅が多い郊外住宅地にも関わらず街の様相が変わりつつある。
既存建物は無筋コンクリートの基礎が割れており、さらに土台や柱も一部破損しており建物も傾いた状況であった。本改修では、ベタ基礎を既存基礎に抱き合わせるようにして基礎補強をし、上部構造に関しても耐震診断における上部構造評点1以上を満たすように耐震設計をし補強している。外壁の断熱改修や高断熱性能をもったサッシを採用し、風通しを考慮した開口計画とすることで省エネルギー住宅を実現している。