あいだ(隙)のあいだ(間)

プライベートな領域と外部との間にさまざまな隙間を挿し挟み、それらを媒介空間とすることで、住まいを閉じた箱にせず、周囲に開かれた住まい方を可能としている。

可動間仕切りを配置し、入居者がニーズに応じて、空間構成を自由に変えられるようにしている。両室を区切る間仕切りは、固定度がやや高いけんどん式とし、壁沿いの通路と両室とを区切る間仕切りは、移動が容易なスライド式としている。けんどん式の間仕切りは、壁沿いに収納でき、2室を一体化して利用することも可能となっている。

玄関土間に連続するキッチンは、来客対応も可能な飲食の場を提供する。その奥の室に来訪者を招き入れることもできる。SOHO的な利用の場合は仕事や打ち合わせの場として、住居専用の場合は多用途の居間として、入居者のライフスタイルに合った使い方が可能である。

玄関土間とキッチンのあいだには仕切りは無く、透明な窓から周辺のまちなみへと空間が連続して広がっていく。バックヤードの土間はバルコニーと一体利用でき、洗面、洗濯、干物、プランター栽培、工作、等のさまざまな作業を、空への広がりを持った空間で行うことができる。これらの空間の存在によって、住戸全体がまちとつながり、つなぎ役を果たす両者の空間のあいだに、多様な隙間が関係しあう、フレキシビリティーの高い生活の場が配置されている。