敷地は仙台駅近くの下町エリアに位置し、古い町割が残る間口3.6m、奥行き18mの狭小地である。染職人である夫が家でも作業をするために工房を1階奥に設け、1階の街路に面した空間はお店やショールームにも使えるようにし、2、3階に住むという町家の構成になっている。

間口が芯々で2.73mであるが、1階を木造ラーメン構造とすることで耐力壁を無くし、東西に開放的な空間とした。一方で2、3階はトイレや個室の壁を耐力壁として利用する在来構法とすることでコストを抑えている。

準防火地域に建つ木造3階建てであるが、準延焼防止建築物として設計することで被覆や燃えしろ無しで木構造の軸組をそのまま見せ、木そのものの質感や経年変化を楽しめるようにした。

両サイドに建物が近接した3m x 11mの細長い建物であるが中庭を設けることで自然採光を確保し、中庭の煙突効果を利用し自然通風するように計画した。昔からある町家のように街路と自然環境に開かれた、仙台の下町ならではの町家である。